気管支喘息
「喘息なんて子供の病気じゃないの?」と思われる方も多いかもしれませんが、決してそのような事はなく、大人になって発症する方は多いのです。特に大人になってからの喘息の方が治りにくかったりもします。まずはしっかりと診断を受けましょう。
喘息の診断には胸部エックス線、肺機能検査、血液検査(アレルギー検査)があります。胸部エックス線は、喘息と同じような症状が出る心不全、肺気腫、アレルギー性の肺炎(過敏性肺炎、好酸球性肺炎)などの鑑別ができます。肺機能検査は、喘息の程度が把握できます。血液検査は、アレルギーが原因となっている場合に、どの物質でアレルギーが起きやすいかがわかります。
治療については、喘息の診断基準(ガイドライン)に基づいた重症度に沿って治療を行います。基本的に喘息発作は予防する薬(コントローラー)と、喘息発作を治す薬(リリーバー)を組み合わせて治療を行います。コントローラーとしては吸入ステロイド剤、リリーバーとしては気管支拡張剤を用いますが、それぞれの薬剤の特徴や用法により、副作用が微妙に違ってきます。的確な診断、その患者さんにあった治療を選択していきたいと思っております。
気管支喘息と呼気NO検査について
気管支喘息の定義
気管支喘息は、気道の慢性炎症、可逆性のある種々の程度の気道狭窄と気道過敏性の亢進、そして臨床的には繰り返し起こる咳嗽、喘鳴、呼吸困難で特徴付けられる閉塞性呼吸器疾患である。
- 呼気NO
- 喀痰細胞診
- 気道過敏性試験
- PEF
- 呼吸機能検査
- 血液ガス
呼気NO濃度検査とは
呼気中の NO(一酸化窒素)の濃度を測定する検査です。
患者さんの気道には好酸球性の炎症があり、炎症性刺激により、主に気道上皮のNO合成酵素が誘導され、大量のNOが産生されます。
そのため呼気中のNO濃度を測定することで好酸球性気道炎症の存在や程度を知ることができ、気管支喘息の診断、治療方針の参考になります。
呼気NO検査で何が分かるのか?
気道で好酸球による炎症が起きているかどうかがわかります。
気管支喘息のコントロールが悪い時は好酸球による炎症がひどくなっていることが多いため、呼気NOの数値が高くなります。
喘息コントロールが良好かどうかを知るための目安になると考えられています。
呼気NOは喘息で特異的に上昇するため、喘息症状があっても呼気NO値が高くならない場合は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)との鑑別含め、他の原因の可能性も考える必要があります。
喘息管理における呼気NOの有用性(なぜ検査をするのか?)
喘息患者さんのコントロール状態が良いかどうかを知るうえで呼気NO値は参考になります。
喘息が悪化した際には高値になり、喘息症状が落ち着いているときは低値になるということです。
たとえば咳が増えた時に、感染がきっかけの咳であれば呼気NOは上昇しないけれども、喘息の悪化による咳であれば呼気NOが通常よりも高値になります。
呼気NOの変化を参照しながら原因を考え、治療内容を調整していきます。
速やかな抗炎症治療の重要性
喘息の治療は、症状発現のごく初期段階で抗炎症治療を強化することが重要です。
これまでの治療に呼気NO濃度測定検査を加えることにより気道の炎症状態を知ることができ、より効率的な治療が可能になります。
検査は簡単
検査は6秒以上息を吹き込むだけです。測定開始から結果表示まで約1分30秒です。
風邪を引いた後は咳だけ治まらずに続くケースが多く、患者さんの約30%は本格的な喘息に移行します。
早期の適切な治療を始めれば移行の確率を下げられるため、他の慢性的な咳と鑑別できる呼気NO測定への期待は膨らんでいます。
呼気NOの評価
現喫煙は優位に呼気NO濃度を低下させ、鼻炎の合併は優位に呼気NO濃度を上昇させます。
患者さんの背景因子を加味し、呼気NO基準値を超えると気管支喘息の可能性があります。
呼気NO検査の限界、問題点
呼気NO検査も万能ではありません。呼気NOが高値を示さない気管支喘息や咳喘息の患者さんもおられます。
喘息症状がある患者さんで、呼気NO値が高値を示した場合は気管支喘息を示唆するとともにステロイド吸入薬が有効であると考えられますので説明しやいのですが、正常値の場合は、気管支喘息や咳喘息が否定できるかというと必ずしも否定できず、他の疾患の可能性も考えながら喘息の治療をおこなう場合もあります。
鼻炎のある方は高めになり、喫煙者は低めになる傾向が知られているほか、ストレスがある時に呼気NOが低下するという報告もでてきており、様々な要因も呼気NO値に影響しているようです。
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