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呼吸器疾患

1. COPD(慢性閉塞性肺疾患)

咳と痰 最近COPDという言葉をテレビのCMで耳にすることがあります。
そう、COPDは喫煙によって起こる肺の病気です。
たばこの煙を長期間吸い込むことにより、徐々に肺が壊れ気道が狭くなっていく病気です。大体、「1日で吸うたばこの本数×年数」(喫煙指数)が400の方は約20%、1200を超える方は約70%の方がCOPDになると言われています。ではCOPDになると、どのような症状が出るのでしょうか?
まず、初期症状として「咳と痰」です。風邪が長引いてなかなか治らないと感じたら、実はCOPDだったということがあります。次に「階段の昇り降りや坂道で息が切れる」といった症状が出始めます。それが徐々にひどくなって「普通に歩いても息が切れる」、「家族と一緒に歩いていてもついていけない」など、こうなるとかなり進行しているサインです。その後は酸素を吸わないと動けなくなり、ちょっとしたことでも息ができなくなり、入退院を繰り返すことになります。

治療としては、まず第一歩、大前提は禁煙です。禁煙無くしてCOPDの治療は成立しないといっても過言ではありません。その上で薬物療法が考慮されます。

COPDの長期管理において、長時間作用型吸入抗コリン薬、長時間作用型吸入β2刺激薬、貼付β刺激薬、吸入ステロイドという薬が治療の主役となります。
これらを単独、あるいは併用して治療を組み立て、適宜、短時間作用型吸入β2刺激薬、あるいは短時間作用型吸入抗コリン薬を用い、さらに増悪を繰り返す場合には、吸入ステロイド薬を追加することになります。そして、薬物療法のみではどうしても難しい場合は、在宅酸素療法の導入となります。

2. 慢性咳嗽

慢性の咳とは、咳止め等の治療を行ったにもかかわらず、8週間以上咳が続くような状態を言います。このような咳が持続する原因として気管支喘息が挙げられますが、近年ではゼ-ゼ-という発作を認めない「咳喘息(咳だけの喘息)」が注目されています。
咳喘息の治療に関しては、通常の気管支喘息とほぼ同じで気管支の炎症を鎮める吸入ステロイド薬と、気管支拡張剤を中心とした投薬が必要になります。慢性の咳を引き起こす疾患には咳喘息以外にも、百日咳・マイコプラズマなどの感染症・副鼻腔気管支症候群・胃食道逆流症・アトピー咳嗽・薬剤性・心因性のものなど沢山あります。咳喘息に関する幅広い知識も必要となりますので、是非、一度ご相談ください。

3. 間質性肺炎

間質性肺炎は「肺炎」とついていますが、一般的に細菌やウイルスで生じる肺炎とは違い、肺が徐々に硬く縮んでいく病気です。別名「肺線維症」とも言われる所以です。原因はよくわからない特発性、膠原病(関節リウマチ等)、アレルギー、薬剤など様々です。
まず、間質性肺炎の症状としては慢性的な咳・息切れです。50歳以上の男性の方に多いのが特徴です。喫煙の影響とも言われております。
進行すれば肺活量や肺拡散能(酸素の取り込み能力)が普通の人の半分以下になるなど、ちょっとした動きでも息切れがひどくなります。最終的には酸素療法や人工呼吸器による治療が必要となってきます。
この病気の診断には胸部CT写真、X線写真、呼吸機能検査、必要に応じて気管支鏡が必要です。
次に治療ですが、現在のところ必ず治る特効薬はありません。膠原病など原因がはっきりしている間質性肺炎については、原因となった病気の治療をすることで改善の余地はありますが、原因がわからない間質性肺炎については、進行を抑える程度の薬しかないのが現状です。進行が早いものであれば、2年半程度で酸素療法や人工呼吸器が必要な場合もあります。従って、間質性肺炎の原因が何かをつきとめることが重要となってきます。早期診断・早期治療により、早い段階で進行を抑えることが大切です。
また間質性肺炎の方で、気道感染を契機に、急激に呼吸困難が増悪することがあります。ご質問等ございましたら、お気軽にご相談ください。

4. 肺炎

いわゆる肺炎(細菌性肺炎)とは、風邪が長引き身体の抵抗力が弱くなり、肺炎を起こす細菌に感染することにより生じる疾患です。一般的に、発熱(38℃以上)・喀痰・咳・胸痛などが出現します。細菌性肺炎の原因菌の約1/4が肺炎球菌によるものです。
肺炎球菌による肺炎は、抗生物質という細菌を殺す薬で治りますが、抵抗力がない方には、致死的になることもあります。最近、一般的な抗生物質で効かない肺炎球菌が増えてきており注意が必要です。
また肺炎球菌以外の菌の中では、マイコプラズマ菌による肺炎に注意が必要です。これは高熱と頑固な咳を特徴とし、一般的な抗生物質では効果がありません。また温泉に行った後などに高熱が続く場合には、レジオネラ菌による肺炎の可能性があります。このレジオネラ肺炎も一般的な抗生物質では効果がありません。
「風邪の症状が長引いている」、「薬をもらって治療してもなかなか熱が下がらず、咳が続く」といった、違和感を感じた際は早めに受診されてください。
また肺炎球菌に関しては、ワクチン接種も行っておりますのでご相談ください。

5. 肺結核

肺結核はいかにも昔の病気みたいですが、そんなことはありません。また、ご高齢の方だけでなく、若い方も感染します。今でも日本は肺結核多い国の一つです。
しかし昔とは違い肺結核は薬で治る病気になっています。それほど恐れなくても良い病気の一つですが、感染力は強力です。現在肺結核の診断には、クオンテフェロンという血液検査によって調べることが可能です。これは、以前によく行われていたツベルクリン反応検査(腕に結核菌抽出物を注射して、3日間後にその反応調べる)と同じようなものです。これが陽性だと、結核菌に感染している可能性が高くなります。その上で胸部X線や胸部CT、喀痰検査、胃液検査行って結核が発症しているかどうかを調べます。
発症しているようであれば、感染症法に基づいて治療することになります。治療は4種類もしくは3種類の抗結核薬を基本的には6ヶ月から9ヶ月間内服していただきます。副作用として肝障害や湿疹、末梢神経障害(手のしびれなど)がでる場合がありますから、定期的な血液検査、抗結核薬の減量も必要となります。
また、喀痰より結核菌が見つかった場合には、他の人への感染予防のため、特定の病院に入院治療が必要となる場合もあります。

6. インフルエンザ

我が国においてインフルエンザは、かつて風邪の仲間として香港かぜや、アジアかぜなどと言われていたことがありますが、もともと米国やヨーロッパでは風邪と同等であるという認識は全くなく、老人や持病のある方は感染すると死に至ることもある感染症として知られていました。
インフルエンザは風邪と同じように気道粘膜に細菌が感染しておこる病気です。発熱や筋肉痛、関節痛、全身倦怠感といった全身の症状がおもに見受けられます。高齢者の方や心肺等に持病を持った方、腎臓に病気のある方、糖尿病の方はこれらの疾患が急激に悪くなることもあります。また細菌により妨げられた気道粘膜のウイルス感染で、肺炎や気管支炎を発症することもあり細心の注意が必要です。

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